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あんバタートーストバブルの崩壊と定番化とベストアルバムの話
過去に雑誌、ラジオ、ネットなどの各種メディアにもたくさん取り上げて頂いていて 1 ROOM COFFEEの代名詞の一つでもある「あんバタートースト」。
私がオンメニューした頃は本当にニッチなカテゴリーだったのですが、今では世の中のたくさんのお店で提供されるアイテムとなり、メディア掲載時にも「あんバタートースト」とカテゴライズされるまでになりました。
しかしながら個人的には1年前には「バブル崩壊」を感じていたというか、このままバブルが続くとは思えない、思えないというよりは頼ってはいけないと考えるようになっていました。たまたま昨年の12月にちょっとしたノリで「苺とホイップクリーム」をトッピングした結果、さらに伸びる事にはなったのですが、これは本当に想定外でした。さらにさらに、つい先月まで提供していた「栗の渋皮煮とホイップクリーム」のトッピングもすごく人気がありました。
が!!先月末に試験的に始め、オペレーションや仕込みの流れ・量を確認しながら3週間ほどやってきた「クロック・ムッシュ」。このクロック・ムッシュが、ここ数日の間に何回もオーダー数で「あんバタートースト」を上回るという事態が発生しました!!自分自身で推してはいましたが、3年近く当店のフード・スイーツの中では絶対的王者に君臨してきた「あんバタートースト」を他の商品が数日とは言え、抑え込むというのは本当に感慨深いです!
なぜ感慨深いかというと、言い過ぎかもしれませんが特にブームでもない、ある意味で定番と言えば定番のクロック・ムッシュを使って、自力で「世の中に打ち勝った(ような…)」気がするからです。
もしココで最近ブームの「固めのプリン」をメニューに組み込んで、あんバタートーストの出数を上回ったとしても、「世の中の力によって上回ってしまった」という印象が自分自身の中に残ってしまいそうな気がします(実際は商品提供をしていないので想像の域は出ませんが)。もちろん世の中のトレンドをキャッチし、いち早く展開して行くスピード感は必要だと思います。泥臭くても勝ちに行かなくてはなりませんので、経営者としては「固めのプリン」を取り入れることは判断としてはベターだとも思います。
が、長い目で見ると、やっぱり自力で何かを打ち出して行かないとブームに左右されるだけになってしまう危険を孕んでいます。クロック・ムッシュはそんな危機感を持ち続けている(全てのことに危機感しかないですが…)中での、スマッシュ・ヒット!!これも今たまたまなのかもしれませんが、「あんバタートースト」を越えるものをなかなか打ち出せてこれなかった私にとって、素直に嬉しいことです。
最初のヒット曲が売れ過ぎちゃって、次に何かを出し続けてもそれをなかなか越えられず、もがき苦しむアーティストと同じ感覚(私の場合は極めて小さい規模ですが…)なのではないでしょうか。
飲食業界はトレンドの移り変わりも早く、定番化できなければ一時的なもの、一発ヒット商品として消えゆくものが多くあります。数年前にたくさんあった「もつ鍋屋さん」、「白いたい焼き屋さん」どこに行っちゃったんでしょうか…。商品だけでなく店ごと消えちゃってます。今あるタピオカ専門店、1年後は今よりも増えているでしょうか…。
今の若い子達(えーと、私が今42歳なので、一回り下の30歳以下とでも定義しておきましょうか。)は知らないかもしれませんが、私が子供だったころ、ティラミスやらカフェ・ラテなんかは全く知らない初めて聞く単語だったのですが、現在では子供でも知っている単語ですよね。こちらはブームから始まり、世の中に対して定番化に成功出来たのだと思います。
そこで1 ROOM COFFEEはあんバタートーストバブルに敢えて自ら終止符を打ち、違う柱をたくさん立てて、より強固な土台を築いてお店の運営していけたらと考えています。とは言ってもあんバタートーストが無くなる訳ではありません。
ココで大事なのは人気商品としての「定番化」です。世の中のブームで終わらせず、良い形で「お店の定番」にすることができるかどうかが、お店を永続的に運営していける鍵だと考えています。
ヒット商品をいくつか世に送り込むことで、初めて出せるベストアルバム。あれもいいけど、こっちも捨てがたいなぁ。今日の気分はこっちだよなぁ、結局どれでもすごくいいよなぁ!という感じで、お店のメニュー構成がいずれベストアルバム的なものになったら強力ですよね!
永続的な運営の要素は商品に限ったことではないと思いますが、今回は商品にフォーカスした話でした。ということで、皆様、両方食べに来てみてくださいね!
1 ROOM に限らずですが、商品がきっかけでも、お店は行ってみて分かることがたくさんあると思います!