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ワンオペという呪縛からの脱出

1 ROOM COFFEEは私1人で営業しておりますので、最近の世の中の言葉で言うとワンオペです。「一人で営業してるんですか!?大変ですね、ワンオペ。」と、皆さんに労っていただくこと多数です。ありがたや、ありがたや。とはいえ、一人で営業をすることを前提で開業しているので、キツイって思う瞬間・時間帯は実際にありますが、かといって「ワンオペ嫌だ」っていう感覚は全く無いのです、私。

お客様の流れやオーダーが極端に集中し、お店の能力を越えてしまった時は、一時的にオペレーションスピードが落ちることはありますが、お店はそれぞれの規模に応じてスタッフを配置しているので、スタッフが3人いるお店でも、10人いるお店でも、人数に関係なくキャパオーバーしたら、結局は一緒の状況です。
状況によってはマンパワーで乗り切れることもあるので、スタッフの数が多い方が「楽」になるケースは多いかもしれませんが、一人でやっているからこそ「気楽」な部分もあるのです。

そもそも「ワンオペ」って単語の響きが、現在の日本において(和製英語だけど)既にイメージあんまり良くない気がしませんか!?もう私としては「ソロ活動」だと認識しています。ソロ活動をしていて、何かイベントを企画したらその時その時で、ユニットやプロジェクトチームを組むという感覚です。基本は「ソロ活動」
そういう意味では1 ROOM COFFEEは全てソロ活動用にお店が構成されています。
ということで、下記のいくつかの項目。

■レジカウンターでのオーダー、そして先会計
これはお帰りになる方がご自身のタイミングで帰ることができること、そして調理中の私自身が「お会計」により、タイミングが崩されてしまわないリスクヘッジを考えてのものです。トーストが焼きあがるベストなタイミングを見計らってカフェ・ラテを作り始めた直後に、何かしらの急用で出なくてはいけなくなったお客様が発生した場合、後会計だと今すぐお会計をして帰りたいお客様、調理真っ最中の私、そして商品の提供を待つお客様、全方位に悪影響が出る可能性があります。
という事で、1 ROOMはフルサービスのお店ですが、先会計を採用しています。

■メニュー構成・オペレーションで無理をし過ぎない
オープンから7年目に入っていますので、メニュー構成としては以前より商品も
増えていますし、フード類はちょっと手数の多いものも入れていますが、徐々に
戦闘能力を上げて来ているからの現在ですし、この先変化するとも思いますが、
今現在の能力よりちょっと上…ぐらいのメニュー構成にしています。
手がかかっても絶対にやりたい商品が存在するかもしれません。
そういう場合は、他の商品とのバランスを取りながら組み込む工夫をしていく必要があると思います。なんでもかんでもやろうとするとパンクします。やりたいお店がグランメゾンなら話は別かもしれませんが…

また、1 ROOM COFFEEのドリンクに関して言えば、カフェ・ラテなどのエスプレッソドリンクを主体とし、ハンドドリップはしておりません。ここの選択は開業時に非常に悩みましたが、営業しながらハンドドリップをオペレーションに組み込んでいけるのかどうかを判断しようと思って始め、今現在も開業当初と同じスタイルでやって来れているので、一人で営業している限りしばらくこのままかと思います。この部分に関してはコーヒーを主体に扱うお店としてはコンセプトにも影響するので、あくまでも1 ROOM COFFEEではこうしたという事でご理解下さい。
「ハンドドリップのコーヒーが提供したい」のではなく、kusa.喫茶さんで焙煎している美味しいコーヒーを提供したい、美味しいコーヒーを通じて、暮らしの中でちょっとホッとできたり、気持ちが豊かになる時間を提供したいというのが
 1 ROOM COFFEEのコンセプトです。

■席数で無理をし過ぎない
飲食店は席数が決まっているので、特に我々のような客単価の決して高くない業態では、できるだけ効率良く席を埋めて、回転させるというビジネスモデルですが、回転のスピードが自分のオペレーションスピードを越えてしまっては効率どころか、ただ渋滞を引き起こすだけで全く意味がありません。
この点は以前の記事「席とテーブルと客数と」で詳しく書いています。

■設備で乗り切る(本当にココ大事!!)
旧店舗では水道管のサイズなどの問題で導入には至りませんでしたが、移転を
機に食器洗浄器を導入しました。営業中の食器類の洗浄はもちろんですが、仕込みで使うボウルや鍋、その他細々とした道具類の洗浄が一気にできます。忙しかった日の閉店後に溜まった食器の洗い物を手洗いしてから仕込み、そして仕込み後の道具の洗い物も手洗いとなると、体力はもちろん精神的にも負担大ですので、ここは購入でもリースでも、食器洗浄器の導入を強くお勧めします。
(スペースあるいは水回りの問題で導入出来ないケースもあるとは思いますが)

スタッフを雇って時給1013円(東京都の最低賃金:2019年12月現在)で1時間ずっと洗い物をしてもらうより早くて綺麗に洗い物が仕上がります。
 時給1,013円 × 1時間(仮に)×26営業日(仮に)=26,338円
1ヶ月のリース料は20,000円もしないので、スタッフを雇うより確実に安上がりです。洗浄機が動いている間に他のことができたり、体力・精神力の負担を軽減できるのであればあった方が良いですし、このリース料が惜しい、払えないということであれば、事業自体を見直す必要もあるのではないかと思います。
私は「リース料が負担なく支払える売上を作れるようにする!」という感覚を持ってやっています。

冷蔵庫・冷凍庫のストックスペースの「余裕」も考えた方がいいと思います。もちろん店舗サイズの制限もありますが、冷蔵庫・冷凍庫のストックスペースに余裕があればパズルのようにキツキツに詰め込まれた物の出し入れも無駄に頭を使わなくて良いですし、こまめに買い物に行く必要がなくなったり、ネット通販などを利用する場合は金額によって送料無料もあります。ストックスペースに余裕がある事でまとまった量・金額の発注ができて、送料もかからず、発注作業自体も減らせます。仕込み後のストック容量に余裕があることで、一回の仕込み量も増やせ、攻めの営業ができるかもしれません。

オーブンなどもちょっと大きい容量のものを導入してもいいかもしれません。
焼き菓子など一気にたくさん作れるものでも、オーブンのサイズで生産量が
制限される可能性があります。回数をこなせば良いのかもしれませんが、ココをメインで売って行きたいという商品、もしくは売れる商品の生産能力が低いと、体力を消耗する上に、需要があるのに生産が追いつかないという、自分とお客様双方にとって良くない事態に陥ってしまいます。もしくは、一回でたくさん焼けるならば、もう一回分で違う商品を焼く時間も作ることが可能で、メニューバリエーションを増やせたり、これまた攻めの営業の可能性が広がります。
ちなみに当店のオーブンは、家庭でも使えるサイズのものを使用していますので、
メニュー構成・内容によりますが、例えば、クッキーなどを一気にたくさん焼きたいとなると、ちょっと物足りないサイズです。
 
その他にも、キッチンエイドや、真空パック機などオペレーションや仕込み作業の負担を軽くできるのものは導入を検討していいかもしれません。設備投資をして生産性を上げたり、自分の体力の消耗を抑えながら時間を生み出し、新たな商品を提案したり、コミュニケーション取ることでお客様に喜んでいただいたり、それが売上・利益拡大に繋がり継続可能なものになって行くと思います。
頭をフル回転させ工夫し、様々な事柄の整合性の質を高めながら営業して行くことが飲食業に限らず、事業の醍醐味な気がしますがいかがでしょうか。

ということで、これからソロ活動をしたい皆さん、現在ソロ活動中の皆さん、いやチームプレイの皆さんも、お互いに頑張りましょう。
自分自身、まだまだ工夫する余地はたくさんあると思っています。 

数字で言えば、売上があと1.5倍まではワンオペ…
もとい『ソロ活動』で行きますね、きっと。