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カフェのダイナミックプライシング導入と運用①【仮説・導入編】
ダイナミックプライシングとは
ご存じの方も多いと思いますが、ダイナミックプライシングとは需要と供給に応じて、商品やサービスの価格を変動させる仕組みのことです。たとえば航空券は、GW、お盆、年末年始などの期間は繁忙期で価格が高くなります。繁忙期になると航空券の需要が劇的に増加するため、航空会社は価格を高く設定しています。ホテルや旅館もそういった所が多いですね。
飲食店はダイナミックプライシングを導入しにくい業態だと言われています。
(私自身の感覚ですが、サービスを提供するコトは比較的導入しやすく、アイテムを提供するモノは導入がしづらいかなと思います。サブスクリプションモデルも同様に飲食店では導入しづらいのかなと思います。)
1 ROOMでのダイナミックプライシングの導入の経緯
導入しづらいにも関わらず、1 ROOM COFFEEはダイナミックプライシングを導入していくことが、現時点での最適解なのではないかとここしばらく考えるようになりました。
なぜそう考えるようになったかと言いますと、土日祝日の混雑による待ち時間の長さの軽減、そして私自身のパフォーマンス維持・あるいは向上をするには、どうしたら良いかを常日頃シミュレーションしていたからです。
お客様がたくさんご来店いただくことは、とても有難く嬉しいことです。それを目指してお店を始めた訳ですし。しかしながら土日祝日は、たくさんご来店頂いた結果、私がキャパオーバーしてしまうタイミングも多くなってきました。
となると着席まで・オーダー・提供だけでなく、その他にも何かしらのタイミングで待ち時間が長くなってしまいます。待ち時間が長いことが慢性的に発生すると、お客様にとってストレスだと思いますし、満足度の低下・来店意欲の低下につながりかねません。
「待つ間も楽しみ」とおっしゃってくれる方も多数いらっしゃいますが、私としては、満席の状態で着席するまでに10分〜20分ぐらいまでならちょっとしたワクワク感を持って、許容範囲と思って頂きたいけれど、それを大きく超えてくる時間はお待たせしたくないと思っています。
1 ROOMでは満席時にウェイティングの方が1組であれば、10分〜15分ほどお待ち頂ければ、大抵のケースで席へのご案内ができることが多いですが、3組、4組となってくるとなかなかそうはいきません。ウェイティングが発生している状況で、着席・オーダー・提供と、それに纏わるエトセトラの流動的なパズルを絶えず解きながらミス無くこなす(いや、実際にはミスもあるので余計キャパオーバー)だけのマシーンのようになってしまっていて、このままだと人と人とのコミュニケーションの場を作りたい思いから離れていく気がします。
仮に一連の作業がスムーズだったとしても、私にそれ以上の余裕は無く、あの時ちょっとしたタイムリーな会話や声かけをしたかったな…とか、調理に精一杯で、あのお客様のヘルプやクエスチョンには応えられなかったな…とか反省を繰り返す日々です。パズルを最適解で解き続けることは、必要最低限のオペレーションであって、そこから先が大事なのに…
この状態を今後ずっと続けて行くことになると、私自身も慢性的にストレスを抱え続けることになりかねません。カフェという余白を大切にした空間を提供しているにも関わらず、一分の隙もないなんて…
このままではお客様と私、それぞれの立場でストレスが大きくなっていくお店になってしまい、どこかでパンクしてしまう可能性があります。そんな日々の積み重ねをしている内に、この現状をどこかで一旦リセットした方がいいのではないかと考えるようになりました。
そこで現状の一つの打開策としてダイナミックプライシングを考えました。価格を上げることでお客様が減少するリスクを取ったとしても、私のパフォーマンスがより良く発揮できる状態を作り、ご来店頂いたお客様の満足度を上げること、その結果として利益が確保できること、双方ハッピーになることが狙いです。
そのために価格の上げ方にダイナミックプライシングを応用して導入しようと考えました。
具体的にどういう形でのダイナミックプライシングか
土日祝日に関してはお席料・テーブルチャージの名目でお一人様150円をいただく形で価格を上げることにしました。
150円+オーダーをした商品
が、お客様のお支払い額です。居酒屋さんではお通し代・席料などが加算されることはごく普通ですが、たいていの場合は、どの時間・どの曜日に行っても常に加算されるものです。1 ROOM の場合は土日祝日のみ加算されることになります。
1 ROOMではお一人様1ドリンクのオーダーが基本なので、ドリンクを全て150円値上げでも支払い総額は一緒ですが、あえて「お席料・テーブルチャージ」と、はっきり分けることにしました。
2杯目のオーダーがあるかもしれませんし、支払い総額が上がる理由を分かりやすくしておくことが、お客様への誠意(自己満足かもしれませんが)かなと思ったからです。
導入するにあたり立てた仮説(メリット・デメリット)
※考えられるメリット
◾️客数減により極端なご来店の集中を抑制し、比較的スムーズな席へのご案内
■コミュニケーションとお客様ケアの機会増加→満足度UPに繋げる
■混雑を避けていた方々への新たな認識アピールで来店頻度UP
■ご来店が平日にスライドすることでの一週間の売上の平準化
◾️客数維持の場合、席料を原資としてスタッフを雇用し私の負担軽減・余裕の確保が可能
※考えられるデメリット
■高いと感じられる方のご来店は減少
■客数減による売上減少
■土日祝日でのご来店しかできない方々へは申し訳ない…
(これはデメリットというか、ごめんなさいの気持ち)
■その他細かいこと色々…
導入にむけての思い
このダイナミックプライシングは10月の後半から導入し、祝日も踏まえ10日間ほどで実施しました。このメリット・デメリットの仮説に対する結果・考察、今後の対策と今回の記事では省略した詳細を次回の記事で投稿しようと思います。
現在進行形のリアルな詳細を書きますので、書き上げた内容でジャッジしますが、次回は有料記事にさせていただく予定です。飲食店を運営されている方々には、今後のご自身のお店を運営する上で一つの参考事例になればと思います。
お客様の力強い応援の声・支持の声があることも確かなのですが、声を上げずに離れる方が発生してしまうことは明白だと思います。その割合がどの程度なのか不安と恐怖はありますが、それを上回る期待を持ちファーストペンギンとなって飛び込もうと思います。ご来店が一番の励みになりますので、土日祝日に限らず平日でも足を運んでいただけたら、たいへん嬉しく思います。
(※noteに興味を持ってここまで読んで頂けている方々は、ご来店の有無に関わらず強力なサポーターだと思っております!)
ご参考までに
ご参考までにですが、「席料・テーブルチャージ」導入にあたり、お客様向けにInstgram・facebookページでお知らせをした時の投稿が下記です。
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ご来店頂いていらっしゃる皆様、今後ご来店をご予定していらっしゃる皆様へお知らせがございます。
結論から申し上げますと、10月22日(土)以降から、土日祝につきましてはお席料を頂戴することにさせて頂きます。お一人様につき150円の設定をさせて頂きますので、ご理解頂けましたら幸いです。
昨今の仕入れ価格の高騰、その他諸々の経費の上昇は飲食業界に限らず、どの業界でも起こっていることで、1 ROOMももちろんその影響は大きく受けておりますが、それとこれとはまた別の話です。ここは仕入れ価格・各種経費の高騰とは分けて考えております。
土日祝日は、ありがたいことではあるのですが、お客様のご来店が大変集中するタイミングが多々ございます。
ストーリーをご覧になっている方はご存知かもしれませんが、土日祝でもタイミング的に「今は席に余裕がある」こともありますが、集中し始めると緩和されるまで、お待たせしてしまうタイミングが多く発生します。
私自身一生懸命やっておりますが、調理の物理的なスピードはきっとこれ以上大幅には速くなりませんし、客席が回転する時間もそれほどスピードアップは望めず、余裕がほとんど無い状態で営業することになっているのが現状です。
その点を考慮して、土日祝にお席料を頂く形、曜日で金額が変動するダイナミックプライシングを試してみようと思います。
まず最初にお支払い額を上げることで単純に「高い」と感じるお客様のご来店が減ることが考えられます。
逆に言うと、お客様がある程度減るリスクを背負ってでも、私ができるパフォーマンスを維持したい、もしくはより一つの事にかける余裕や、お客様と一言二言をかわす余裕を生み出したいと考えています。
また、お支払い額が上がっても、ご来店に価値を見出して頂くことができ(ここが私の頑張りどころ)、お客様が減少しない場合は、頂いたお席料が原資となり、スタッフを雇うことで、スムーズな営業になるかもしれません。これは1回や2回試しただけではジャッジしづらく、先の話にはなると思いますので、様子を見ながらということになるとは思います。
商品の価格を上げるのか、お席料という形でプラスでいただくのか悩みました。いずれにしてもお支払い頂く額を上げることにはなりますので、特に土日祝しかご来店が難しい方にとっては、申し訳ないと思うのですが、今後も持続可能な店舗運営を考えて先手先手でリスクを負いながら試しいこうと思いました。
そして色々考える中で、何かをうやむやにして商品価格にねじ込むのではなく、「商品+お席料」のカフェではそれほど聞くことのない料金スタイルでのダイナミックプライシングにチャレンジしようと思いました。
賛否両論あると思います。1億総評論家と言われる時代ですので、部分的に見たこと感じたことを好き放題書かれることも少なからず経験してきています。私はまだまだ人間ができていませんので正直なことを言えば怖いですし、不安もあります。
とはいえ、今後の1 ROOM COFFEE の運営だけでなく、カフェ業界、飲食業界の運営の在り方を考えるのであれば、今より利益率が高く、働くにあたって魅力ある業界にするべく、そのきっかけのひとつの店になるかもしれないファーストペンギンとなって飛び込もうとも思います。
長々となりましたが、ご理解と今後も応援を頂けましたらたいへんありがたく、そして幸せに思います。